【プリウス・インプレッサ・アクセラ比較】安全装備の比較(後編)

前回に続いてプリウスインプレッサアクセラの安全装備について見ていきます。

【プリウス・インプレッサ・アクセラ比較】安全装備の比較(前編) - 納豆巻

 

toyota.jp 

www.subaru.jp

www.mazda.co.jp

 

予防安全

予防安全というのは事故を未然に防ぐ、または事故が回避できない状況で被害を抑えることです。もちろん100%は無理で、事故リスクを減らすだけなのですが、そのための装備が最近急激に充実してきたようですね。

 

いわゆるぶつからないブレーキなどもここに含まれます。

 

この手の装備を比べる場合、ついてるついてないだけではなく、その精度や性能が重要です。そうはいっても試すことはできませんので、カタログスペックや方式から可能なかぎり推測してみることにしましょう。

  

自動ブレーキ(前方)

今回比較対象にした3車種ともに設定があります。インプレッサは標準装備、プリウスアクセラはグレードやオプションによります。

 

自動ブレーキについては、どの方式であっても過信は禁物です。

というのも、現在使われている方式では検出精度に大した期待はできないからです。条件がうまく合わさった場合に機能するかも、という程度の淡い期待がよろしいかと思います。

 

プリウスアクセラで使われているカメラ+ミリ波レーダー方式は2種類のセンサーを組み合わせています。

カメラは

  • 広い範囲の情報が得られる
  • 距離は大きさから推測するしかない
  • 使える条件が狭い (カメラに光が直接当たる状況・夜間・高速な対象で精度が落ちる)

ミリ波レーダーは

  • 真正面しかわからない (首振り機構を入れるかアレイ構造にでもしない限り)
  • 距離がわかる
  • 周りの環境に影響されにくい

一見、組み合わせることでお互いの弱点を補う関係のように見えますね。しかしこのような構成の場合、両方が正しく動いている時でないと急ブレーキはかけられないはずで、結果としてかなり限られたシチュエーションでしか機能しないと思われます。

 

www.subaru.jp

 

インプレッサのステレオカメラ方式では、2台のカメラで同時に撮影した画像から奥行きが計算できます。つまり、距離がわからないという単眼カメラの弱点を克服した方式です。さらにステレオカメラならではの利点として、真正面以外の物体についても距離がわかるという特長があります。

しかしカメラであることに変わりはなく、周囲の明るさなどに影響されやすいところは同じです。さらに、片方のカメラにのみ雨滴がついて画像が歪むと極端に精度が落ちるなど、ステレオカメラ特有の課題もあります。

アイサイトは歴史も長いですから、技術の蓄積でもってこういった課題にどれだけ対応できているのか興味深いところですね。

 

というわけで、私の個人的見解ではありますが、自動ブレーキに過剰な期待はせず、万一の保険ぐらいに考えておきます。3車種とも装備できますので、とりあえず差は無しということでいいんじゃないでしょうか。

 

ちなみにJNCAPで評価していたりします。ただし、ターゲットは真正面に配置、晴天かつ日中にテストしており、センサにとっては理想的な条件です。これで機能するのは当たり前で、何の評価にもなっていません・・・

JNCAP|予防安全性能アセスメント - 衝突被害軽減制動制御装置

 

自動運転の研究で使われているLIDARなどの強力なセンサ(現時点ではかなり高価)と、そこから得られる膨大な情報を処理できるだけのプロセッサが車に載るような時代が来れば、もっと信頼できるようになるでしょうね。技術の進歩に期待です。

 

自動ブレーキ(後方)

プリウスアクセラには設定があります。

インプレッサには設定がないようです(アラームだけならあります)。

 

こちらはそれなりに効果を期待していい気がします。というのも前方の場合と比べて車速はずっと低く、対象との距離も近いからです。測定には超音波を利用しているようですね。この方式は歴史も長く安定しているといえそうです。

 

もしかしたら止まらなくていい時に間違って止めてくれるケースが気になるかもしれません。でも、その時だけオフにすればいいですよね。

 

ブラインドスポットモニタリング

3車種とも装備できます。

ただしプリウスではAグレード以上に限られます。

 

センサはミリ波レーダーのようです。

並走車両の検出だけできればいいシンプルなシステムで、自動ブレーキの場合と違って誤検出があっても大きな問題が起きないシステムです。このためセンサは検出漏れを減らす方向にチューニングされていればよく*1、技術的には比較的容易であろうと思われます。

 

車線変更が苦手な人には嬉しい装備ですね。最近の車は後方視界があまり良くないデザインをしていますので、あると安心ですよね。まあ、ナナメ後ろが見えないデザインの方を何とかしてほしいところですが・・・

 

車線逸脱アラーム・レーンキープアシスト

車線逸脱アラームは3車種とも設定されていますが、その発展型であるところのレーンキープアシストについては差があります。

 

 

車線逸脱アラーム・レーンキープアシストともに車線を認識してステアリングを自動操作するところまでは一緒です。

プリウスが片方のみ搭載としているのは、精度が足りなかったからではないかと思われます。車線逸脱アラームでは検出漏れや誤検出が起きても、操舵力のアシストが弱めなら大きな問題にはなりません。一方のレーンキープアシストでは検出漏れや誤検出が即事故につながるため、車線を高精度に捕捉し続けられる能力が求められます。

そういえばプリウス試乗したときLDWのアラーム音が変なタイミングで鳴ってました。あまり期待できない感じです(笑)

 

インプレッサはステレオカメラにより車線を距離付きで捕捉できるので、誤検出の可能性はかなり抑えられるはずです。

アクセラは・・・車線っぽい模様とかに遭遇したら、どうなるんでしょうか。ちょっと不安なシステムですが、販売されているからにはそれなりの性能が出てるんですよね?

 

性能の期待込みで、ここはインプレッサが勝っているといえそうです。

 

安全系便利装備

ここまで挙げた以外にも、最近の車は様々な装備がドライバーの運転を助けてくれます。こういった装備はドライバーの操作を減らしてくれることで、間接的に安全性を高めてくれるといえます。

 

  • クルーズコントロール
  • 自動ハイビーム
  • 自動防眩ルームミラー
  • ヒーテッドドアミラー

  

このあたりはカタログスペックやセンサ方式から推測できる内容に限度があるため、必要と思う装備があれば実際に試してみることをお勧めします。

 

まとめ

2回に分けてプリウスインプレッサアクセラの安全装備を比較してきましたが、2017年現在の最新モデルとして、いずれも安全装備は充実していますね。

 

インプレッサが安全性に注力しているのは間違いなく、性能も期待が持てそうです。

プリウスは思ったよりも健闘していますね。

アクセラはところどころ残念なポイントがあったような・・・

 

私のように安全性を重視して車を選ぶ場合は、インプレッサプリウス候補にするのがよいと感じました。

 

*1:センサで何かを検出するシステムにおいて、検出漏れ(False Negative)と誤検出(False Positive)の頻度は一般的にトレードオフの関係になります